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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

スタッフオススメ特情報

第22回 いすみ“朝市”巡りその2
苅谷六斎市

文章・写真:鶴渕(金沢)修子
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苅谷朝市1今回ご紹介する朝市は「苅谷六斎市」(夷隅地区)。開催日は毎月「1」と「6」のつく日です。この朝市、なんと戦国時代から続いているという歴史ある市。ときの万木城主土岐氏が城下の経済振興のために設けた、楽市が始まりだそうです。

私が訪れた日の出店は海産物屋さん、八百屋さん、金物屋さん、お漬物やお餅を売っている方の4店舗でした。

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心通うあたたかい場

朝市に行く前は「最近は出店者が2〜3店舗しか出ていなくてさみしくなった」と聞いていました。いざ行ってみると出店数こそ少なかったけど、場としては心通うあたたかな所だったというのが私の印象です。

お店に行くと「どこから来たの〜?」と声をかけて下さり、あたたかい飲み物を入れて下さいました。「この椅子に座って飲みなさい」、「お餅焼くけど食べる?」と色々お気づかい頂き、皆さんのあたたかい心に触れる瞬間でした。
それをお客様はもちろんのこと、出店者にもふるまっていました。出店者、お客様という垣根をあまり感じなく、皆が心地よく過ごせるような空気になっていました。

しばらくして金物屋にお客さんがやってきて、買い物をして帰って行かれました。
店主とはもう長いつきあいのようで、
「いつもこうやってもう何年も買いにきてくれるんだ」
と店主の林さんが話して下さいました。

「この辺では俺のところの鍬は人気なんだよ」
と人懐っこい笑顔と気さくな話ぶり。他のお店で買い物をしたおばあちゃんも、「ちょっと林さんに顔出してくるわ」といってお話されていました。
余談ですが、家に帰り義母に朝市のことを話すと「この辺では金物は朝市で買ったほうが良いってみんな言うね〜」と言っていました。「口コミ」力ですね。

金物屋の林さん
刃物屋の林さん。包丁の魅力をひとつひとつ丁寧に語ってくれます。
君塚さんのお店
君塚さんのお店。近所の方との憩いの場になっています。

お漬物とお餅、野菜を売る君塚さんのお店の前には椅子が置かれていて、買い物に来た方も、君塚さんに会いに来た方もここに座って井戸端会議をしています。

「最近どこどこの家のあの人が〜なんだよ」などなど、女性はいつだっておしゃべりが好きなようです。一見他愛もない会話の中にも予期しなかった情報や必要なメッセージが含まれていて楽しいものです。
私も金物屋の林さんと会話している中でなんと君塚さんと遠い親戚だという事が判明!驚きました。

ここに来る人は常連さんがほとんどで、ほとんどの方が顔見知りなんだそうです。
「寒いのによく来たな〜」なんていいながら、他のお客さんが来ると、「今日は〇〇はいってるよ〜」と言ってお客さんの求めているものや嗜好をすでに皆が把握している様子でした。

ふとすると先ほどの金物屋のおじさんが100円玉を他の出店者さんへ配っています。
「なぜ今100円渡したんですか?」と聞くと、最初にものが売れたお店が他のお店に渡すことになっているんだそうです。
ちょっとしたことかもしれませんが、喜びを共有するような、人情を感じる朝市ならではのおもしろい仕組みがありました。

八百屋さんで井戸端会議
常連様とお話する八百屋さん。買い物の後は井戸端会議が始まります。

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朝市の現状

今朝市を出している苅谷公園の場所は、昔田んぼで道路にズラーっと30店舗以上が出店していたそうです。それが近くにスーパーができてからは徐々に出店するお店が減っていき、加えて出店者の高齢化も伴い、今出店している方は「おそらく俺らの代で最後だろう」とおっしゃっていました。

朝市にいらっしゃるお客さんの中には、足が不便になってスーパーまで行けないという人や、スーパーに行ってもレジでお金を払う時、お財布から小銭を出すのに時間がかかってしまって、周りの人に迷惑をかけたくないという人もいらっしゃいました。

スーパーで買い物をする時、買いたいものを探して陳列棚から手にとった後、レジで会計を済ませて帰る。誰ともコミュニケーションをせずに帰ることがほとんどだと思います。
これはこれで品物がいつでも揃っているスーパーは便利だし、買い物をささっと済ませられる利点があると思います。

では朝市の魅力とは何なのでしょうか?

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朝市の魅力

朝市の魅力は“スローフード”ならぬ“スローショッピング”のイメージです。
商品を仕入れた人、作った人が直接売ることで信頼関係も築けるし会話も作り方や商品のいろはなど幅が広がりますね。

たとえばお餅を買ったときに保存方法を聞いたのですが、冷凍する方法の他に、「西洋わさびを水に溶いて一緒に保存しておくと長持ちするよ〜」と昔ながらの豆知識を教えて下さいました。
こういう商品と一緒についてくる、生きた知恵情報はたまらなく嬉しいです。

出店者さんの朝市歴は長い方でなんと50年!常連様もお客様歴50年!

もうただただ驚きです。みなさんの思いの結集がこの朝市が続いている秘訣の様な気がします。
とあるお客様は「君塚さんのたくあんを娘が気に入っていて買い続けているの」とおっしゃっていました。
これだけ長いつきあいになると一出店者、一お客様の関係を越えて信頼関係が出来上がりますね。朝市とは「商品を買う+あの人に会う」、信頼ある関係性の中で「買ってくれる人に支えられ、売ってくれる人に支えられる」関係であるのだと思います。

餅をふるまう君塚さん 井戸端会議
商品である手づくり餅を皆さんにふるまう君塚さん。顔を見せて会話をすることも朝市に来る目的のひとつなのかもしれません。
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朝市の今後を考える

出店者さんに「新しい出店者は入ってきていますか?」と聞くと「全然だよ。どんどんやめてしまって今は小規模になってしまっている。俺らの代で終わりだろう。」という寂し答えが返ってきました。
卒業していく人ばかりで新しくはじめる人は今のところいない様子でした。

そんな中、ある出店者さんに「どうして朝市を続けているのですか?」とお聞きしたら「そりゃぁ商売だからね〜。毎日どこかしらで朝市をやっているから毎日お店を出してるのよ〜」と、路面にお店を構えず朝市専門出店の方が多いようです。

苅谷の朝市 苅谷の朝市・海産物屋さん

品物と値段だけを見る買い物ではなく値段は少し高くてもこの人のところで買いたい、そう思うのは「人情」が加わった買い物。
そんな買い物をするとき、“おまけ”という「心遣い」がついてくることもあります。みかんをひとつつけてくれたり、漬物を少しつけてくれたり。そういう心と心が通い合う買い物が私にはとても新鮮にうつりました。きっと少し前の日本では当たり前の光景だったのかもしれませんね。

そんなことを感じていると、脈々と受け継がれてきた“朝市という文化の一部”を絶やしたくないと強く思いました。
昔のままとまではいかないまでも、現代に沿う感じで残していければいいな、と今は感じています。

気になった方、お近くにお住まいの方は是非一度足を運んでみてください。きっと味わい深い時間を過ごせると思います。
新しい出店者も随時募集中だそうです。興味のある方は是非お問い合せください。(問い合せ先は最下部)

苅谷の朝市・海産物 苅谷の朝市・野菜
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苅谷の六斎市

【開催日】
毎月1と6の付く日(午前中)

【場所】
いすみ市苅谷公園(千葉県いすみ市苅谷1148)
いすみ鉄道国吉駅より徒歩5分

【お問い合わせ】
・苅谷商店街振興会
(電話)0470-86-2012
・いすみ市夷隅地域市民局地域振興課
(電話)0470-86-2111


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