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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

スタッフオススメ特情報

第18回 〜暮らしの中に民藝品を〜「北土舎」

文章・写真:岡田美保
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JR外房線大原駅からほど近くに、昔ながらの面影を残しながらもモダンに改修された民藝品店「北土舎」(ほくとしゃ)がオープンしました。

旧店舗の引き戸をリメイクした扉を開ければ、吹き抜けの開放的な空間の中に、芝原人形や佐原張子、房州うちわなどの民藝品が並びます。

北斗舎外観

そこはどこか懐かしく、心を落ち着く空間。ひとつひとつ丁寧に作られた民藝品に触れると、今に続く手作りの心を感じることができます。

北土舎オープンまで〜古民家の保存、再生〜

店内

この建物は明治時代に建てられた民家の店舗部で、2011年の3.11の地震にも耐えたものの、老朽化がかなり進んでいました。

建築当初は足袋屋でした。時代の流れとともに、足袋は廃業、オーダーメイドの洋服店になります。

その後も時代の流れとともに、洋服店は閉店。その洋服店の店主と親戚だった北土舎のオーナーは子供の頃この家に遊びに来ては2階の窓から商店街の人の行き来を眺めるのが好きでした。

この建物がそのまま朽ちていくのは忍びない、どうにかして活用できないか考えた時に、以前から好きだった「民藝」*、それもこの地、千葉の民藝品を販売する店として残せばこの家も喜んでくれるのではないかと思ったそうです。

そう決めた時に、同じ通りにある酒蔵の木戸泉で「蔵開き」の開催が決定。
その日に合せて開店を目指し、改修工事が着工。改修工事と同時に店頭で販売する民藝品の作り手を訪ね、取引交渉する日々が始まりました。

※民藝とは?
「民藝」という言葉は「民衆的工芸」の略語で、柳宗悦達によって作られた言葉です。
民藝品とは「一般の民衆が日々の生活に必要とする品」。その土地の風土から生まれ、生活に根ざし、民衆の暮らしから生まれた手仕事の文化を正しく守り育てることが私達の生活をより豊かにするという思想。
柳の説く「民藝品」とは?
鑑賞するためのものではなく、実用的であること、
無名の職人によって作られたもの、
数多く作られたもの、
誰もが買い求められるよう値段が安いもの、
熟練した技術をともなうもの、
地域の暮らしに根ざした地方性があること、
分業性、
伝統性、
個人の技術ではなく、風土や自然の恵み、そして伝統の力など、目に見えない大きな力によって支えられているもの。 (日本民藝協会ホームページより抜粋)

店内

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作り手のストーリーを伝える

焼肉のたれ 「商品を販売したい」とつくり手を訪ねても、すぐに取引してもらえるわけではありませんでした。
改修中の古民家の写真を見せ、その建物を残したい想い、民藝の良さを伝えたい想いを伝えました。
つくり手は家族、又は一人で受注生産で製作しているのが現状。
何度か足を運び、少しずつある在庫の中から商品を卸してもらえることになりました。
 
使い勝手や美しさではなく、価格優先の量産品が多量に出回る現在、限られた量しか作ることのできない手しごと品は価格ではどうしてもかないません。
高級美術品とも異なる為、市場ではどうしても苦戦しがちです。
生業として手しごとだけで生活されている職人はごく一部で、中には副業を持ちながら製作に励んでいる方もいるそうです。
伝統を守りたくて、その仕事に誇りを感じて製作しても、収入が安定しないなどの理由で、伝統を引き継いでいけない現状を『「売り手」として少しでも「つくり手」の支援ができたら』と北土舎のオーナーは思うようになりました。
店内

小さなお店でもその民藝の歴史を伝えること、作り手の想いや作品の生い立ちを伝えることが地道ながらも民藝を普及することにつながるといいます。

民藝品は高価な芸術品ではなく、愛おしい日常品であってほしい。日常的に使ったり、身近にあれば壊れたりすることもある。そうしたら買いかえたらいいと。

元々、民藝品は名もない職人達が作った日常品です。日々の暮らしで使えるものを作っていく中で、より洗練されて美しい生活道具となった。日々使うものだから使い勝手よく、美しいものを生活に取り入れて「ささやかな幸せ」や「ゆとり」を感じるものであってほしい。心豊かに生活を楽しむための日常品としての民藝品はそれだけの価値があると話すオーナーにとても共感しました。

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商店街の活性化〜地域で生産、地域で消費されるモノづくり〜

北土舎のある大原中央商店街は食品店、雑貨店の個人商店をはじめ、提灯屋や酒蔵もある昔ながらの商店街。毎年秋にある「大原はだか祭り」※の時には大勢の観客と神輿と若い衆で賑わいます。

北土舎のオーナーは「祭り会館」を作るなど、祭りの時期だけではなく、年間を通して、祭りの雰囲気が楽しめる場所があれば、地元の方を中心に祭りや伝統、文化をいすみ市市外へ紹介でき、観光客の呼び水になり、商店街の活性化になるのではと話します。
北土舎の開店日を合せた木戸泉の蔵開きの時は大原商店街も北土舎も大賑わいでした。
このようなイベントを継続することも商店街を活気づける方法の一つ。

※「大原はだか祭り」…約1300年前から続く、豊漁祈願に起源のある伝統的な祭り。

地域に根ざしたものがその土地に一番必要なモノであったり、その地域で作られたモノを地元で消費するのが、生産者にとっても消費者にとってもお互いが徳をする「儲かる仕組み」ではないのでしょうか。

代々続く建物を現代に受け継ぎ、そこでこの土地の民藝品の良さを伝えていく北土舎が商店街に新しい風を吹き込んでくれるような気がしてなりません。「古き」を現代に合う形で活かしていく方法。

房州うちわ 人形

北土舎で販売している「房州うちわ」は昔、商店の販促品としても利用されるほど日常にありました。
民藝品を日常的に使うことは難しくても、気持ちのこもった「特別な贈り物」として生活に取り入れるのは現代にあった民藝の形かもしれません。
量産品は安くて、便利ですが、同じものは二つとはない手作りの民藝品を手に取っていただき、「作り手の想いを含めて買うということ」をもう一度考えてもらうきっかけになればと思います。

そして、民藝品を暮らしに少しずつ取り入れて、「ささやかな幸せ」と「ゆとり」を感じてみませんか?

取材日:2013年6月1日

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 北土舎(HOKUTOSYA)
住所〒298-0004 千葉県いすみ市大原8750
TEL:090-6658-4898(10:00〜17:00)
不定期営業  (毎月第1、第2土曜・日曜日開店)

Facebookで営業日のご案内などを配信しています。
千葉県内各地の手しごと職人によって作られた陶器、ガラス、竹細工などの生活雑器、土人形、ゴム鉄砲などの玩具を販売。



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