房総半島では勝浦市の朝市が有名ですが、ここいすみ市にも、小さいながらも朝市があります。これから何回かに分けて、そんな「いすみの小さい朝市」、そして、朝市が開かれている地域の商店街をご紹介します。
長者の朝市〜シアワセガクルアサイチ 顔と顔が見える朝市〜
いすみ市内には大原、夷隅、岬と各地区に朝市が立ちます。岬である長者の朝市は4と9のつく日。1661年(寛文元年)に市立の願いが出されてから、350年以上の歴史があるそうです。
賑わっている頃は商店街通りに100を超える店舗立ち並びました。
夏は4時頃から冬は5時半頃から夜明けとともに始まり、一番混み合うのは10時頃、11時過ぎには店じまいしたそうです。
行商(あきないのおばちゃん)の野菜、魚、惣菜、味噌の計り売り、下駄屋(ぽっくり)などなど、何でも手に入りました。
近年、国道沿いに大型店舗ができ、車での移動が増えると、朝市に来る人が減りました。
出店者は地代の支払いもままならくなり、2010年に商店街から1本入った現在の場所へ移動しました。現在、出店は3〜5店舗程度。野菜、果物、金物などが並びますが、買い物に来るのは近所の高齢者がほとんどです。
出店しているおばあちゃんの話です。
「昔から夫婦で野菜を作って、朝市で販売してきました。直売所に卸したほうが、店番もしなくていいし、朝納品して、夕方引き取りに行くだけ。そうしている人がほとんど。
だけど、直売所に卸すからには野菜の規格を揃えたり、まとまった量を納品しなくては売れないし、ラベルを張ったり、80代の私達には無理。
形が不ぞろいでも、朝市ならお客さんと話しながらなら納得して、買ってもらうことができる。だから朝市に来る。
それでも馴染みのお客さんはどんどん減っていくし、出店する仲間も1店、2店と減っていくと、いつやめようかと考えているんですよ。」
こんな状況をなんとかしようと2011年、地元の有志によって「朝市再興プロジェクト」が立ちあがりました。毎回、テント張りが大変という出店者に配慮し、作りつけの屋根やベンチの設置、地元小学生が作ったのれんで賑やかな雰囲気を演出、2012年にリニューアルしました。
リニューアル後、出店も、お客さんも増えていないのが現状ですが、元祖ファーマーズマーケットの醍醐味を4(シアワセ)に感じる人が9(クル)ことを願って、これからも応援していきたいと思います。
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