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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

スタッフオススメ特情報

第21回 いすみ“朝市”巡りその1
長者町の朝市と商店街

文章・写真:岡田美保
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房総半島では勝浦市の朝市が有名ですが、ここいすみ市にも、小さいながらも朝市があります。これから何回かに分けて、そんな「いすみの小さい朝市」、そして、朝市が開かれている地域の商店街をご紹介します。

長者の朝市〜シアワセガクルアサイチ 顔と顔が見える朝市〜

いすみ市内には大原、夷隅、岬と各地区に朝市が立ちます。岬である長者の朝市は4と9のつく日。1661年(寛文元年)に市立の願いが出されてから、350年以上の歴史があるそうです。

長者の朝市賑わっている頃は商店街通りに100を超える店舗立ち並びました。
夏は4時頃から冬は5時半頃から夜明けとともに始まり、一番混み合うのは10時頃、11時過ぎには店じまいしたそうです。
行商(あきないのおばちゃん)の野菜、魚、惣菜、味噌の計り売り、下駄屋(ぽっくり)などなど、何でも手に入りました。

近年、国道沿いに大型店舗ができ、車での移動が増えると、朝市に来る人が減りました。
出店者は地代の支払いもままならくなり、2010年に商店街から1本入った現在の場所へ移動しました。現在、出店は3〜5店舗程度。野菜、果物、金物などが並びますが、買い物に来るのは近所の高齢者がほとんどです。
出店しているおばあちゃんの話です。

「昔から夫婦で野菜を作って、朝市で販売してきました。直売所に卸したほうが、店番もしなくていいし、朝納品して、夕方引き取りに行くだけ。そうしている人がほとんど。
だけど、直売所に卸すからには野菜の規格を揃えたり、まとまった量を納品しなくては売れないし、ラベルを張ったり、80代の私達には無理。
形が不ぞろいでも、朝市ならお客さんと話しながらなら納得して、買ってもらうことができる。だから朝市に来る。
それでも馴染みのお客さんはどんどん減っていくし、出店する仲間も1店、2店と減っていくと、いつやめようかと考えているんですよ。」

長者の朝市 長者の朝市

こんな状況をなんとかしようと2011年、地元の有志によって「朝市再興プロジェクト」が立ちあがりました。毎回、テント張りが大変という出店者に配慮し、作りつけの屋根やベンチの設置、地元小学生が作ったのれんで賑やかな雰囲気を演出、2012年にリニューアルしました。

リニューアル後、出店も、お客さんも増えていないのが現状ですが、元祖ファーマーズマーケットの醍醐味を4(シアワセ)に感じる人が9(クル)ことを願って、これからも応援していきたいと思います。

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直売所「ぱんぷきん」〜地域を見守るお店として〜

朝市をやっている場所から、長者町の商店街を少し国道128号線に歩いたところに、農産物直販所「ぱんぷきん」があります。ここは、元々プラモデルなどを販売するファンシーショップでした。

子どもの遊び方が変わったこと、大型店舗があちこちにでき、町のおもちゃ屋の役目を終えたことで、2010年から直売所を始めました。

ぱんぷきん ぱんぷきん

生産者もお客さんもお年寄りがほとんどで、スーパーは遠くて行けない人にとって貴重な直売所です。
そのお客さん達も肉、生活用品などは車でスーパーに連れていってもらい、まとめ買いをして、日々の野菜などをぱんぷきんに買いに来ます。

ぱんぷきんでは入会金なし、販売手数料だけで、少量から野菜を置くことができるので、近隣の農家さんがたくさん採れたとき気軽に持ってきます。
野菜、豆腐、乾物、お菓子、、花苗、日用品、服、骨董品までここに来ればだいたいのものが揃います。年末になれば「お掃除のお手伝い請負」なんてのも1人暮らしのお年寄りに配慮した嬉しいサービスです。

お客さんはみんな顔なじみ。店主の吉田さんは生産者のことも、お客さんのことも、地域のこともよく知っています。
すぐ近くの小学校の子ども達が立ち寄りやすいように、回転やきや駄菓子コーナーも販売しています。商店街の変化を感じ、役割を変えてきた直売所ぱんぷきんは時代とともに、地域に必要な形であり続けるでしょう。

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とぎ屋のケンちゃん〜待っていてもダメ、足があるなら自分から出向く〜

「人と同じことをしていても商売にならない。どんどん店をたたむ仕事ほど、仕事になる」と一念発起。
13年前に脱サラし、なけなしの貯金をはたいて、刃物を研ぐ機械を購入、刃物屋で修業後、独立して「移動とぎ屋」を始めました。月のうち、休みは4日のみ。それ以外は県内あちこちへ出張して、刃物を研ぎます。

とぎ屋のケンちゃん とぎ屋のケンちゃん

長者町商店街の源氏本店前に来るのは毎月29日。
この日には、近所の方が包丁、裁ちばさみ、剪定ばさみなどありとあらゆる刃物を持ってきます。
持ち前の気さくさと明るい口調で、刃物のことを丁寧に教えてくれます。切れない包丁を切れる包丁にするまで、ほんの数分!マジックのように、機械を巧みに扱って、紙がスッと切れる包丁に戻ります。

「切れない包丁は刃物ではない。刃物は切れる危ないものだと知ってほしい。切れるもの(=命を絶つもの)ということがわかれば、ぞんざいに扱わなくなるでしょ。」

刃物に対する並々ならぬ思いを持った職人でありながら、時代に合わせて、売り方を変える、お客に合わせて伝え方を変える、そんなケンちゃんは今日もどこかのスーパーの前で、刃物に命を吹き込みます。

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源氏本店〜個人商店の自立を目指す、地域のスーパー〜

お店を入ると「はい、いらっしゃい!」と、お店の人が威勢のよい声と笑顔で迎えてくれます。

長者商店街の真中にある源氏本店です。車がなくても気軽に歩いてお買い物に行けるスーパーとして、地元のお年寄りなどを中心に、広く利用されています。

この源氏本店、元々、肉屋を営んでいました。
4人兄弟、親子で経営、現在でも頭飼いで仕入れ、新鮮なお肉やおいしい総菜で評判のお店です。肉は解体後、3〜4日熟成させてから店頭に並べます。

源氏商店 源氏商店

同じ商店街にあった豆腐屋が廃業するときには、豆腐作りを引き継ぎ、現在は豆腐、厚揚げなど、豆腐商品も製造販売するようになりました。

肉の注文販売、品ぞろえ、福引セールなど昔ながらのス―パーの良さを残しながら、注文配達の無料サービスなど、集客努力をしています。
しかし、最近、 大型スーパーが国道沿いに出店してきており、経営状況は厳しいのだそうです。

「夫婦二人だけなら、とっくに店をたたんでいるが親族、家族で経営しているからこそ、簡単にはやめられない」と店主は話します。

これからも食品加工技術の継承、個人商店の自立を目指して、長者町商店街の中心として、頑張ってほしいと思います。

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商店街みんなで盛り上げる、おたち ―神立祭―

「10月31日はおたち祭へおでかけ下さい」

10月に入ると長者町には、この看板が立ちます。

 おたち―神立祭―
毎年十月三十一日には八百万(ヤオヨロズ)の神々が出雲大社に集まり会合をする為に出雲へ向けて旅立つと言われています
この日には縁結び大学高校入試などの願い事を神々に託す為神社へお参りする習わしが古来続けられています
そしてこの時にお買い物をすると福が授かり良縁に恵まれ願い事が叶うと言い伝えられています
- 天神社 -

おたち商店街みんなで盛り上げようと10年ほど前に「おたちの会」を立ち上げ、「おたち祭」という地元の産土「天神社」のお祭りを行うようになりました。
この祭には郵便局をはじめ、商店街のお店が出店(でみせ)を出します。
商店街の方達が、お多福やひょっとこの顔が描かれた揃いの法被を着て、的当てや焼き鳥、焼きそばなどを出店し、縁起物を授かりに、近所の人たちも集まってきて、とっても賑やか。

子どもから大人まで、お爺ちゃんやおばあちゃんが孫を連れて、即席の宴会場は地域の交流会会場となります。

天神社は学問の神様、菅原道真を祀る神社。となりのお兄ちゃんをちらっと見ながら、二礼二拍手一礼を真似ている小さな子供を見ると、神様に感謝する心が世代を超えて、ちゃんと受け継がれているのだなと嬉しくなりました。

天神社

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取材を終えて

個人商店が、街からどんどんなくなっていきます。
肉は肉屋、野菜は八百屋、それぞれの商店が得意分野をもって販売していた時代から、なんでも揃う大型ス―パの時代へ変わりつつあります。
便利と引き換えに、口頭で伝えられていく大事な文化や感覚で心に残る風景まで失っていっているような気がしてなりません。
家業を継がせられないという話をよく耳にします。
後継者問題、原料高騰、大型店舗との差別化、小さな商店に圧し掛かる問題は山積みです。

それでも商店街にしかできない強みがあると思います。対面販売だからできる文化の継承、「知っているおじちゃんやおばちゃんがいるお店」という安心感、地域に求められる細かなサービス、身近にあって、地域で子ども達やお年寄りを見守れる形が商店街でもあると思います。

長者町商店街には、まだそれが息づいている。そう感じました。
少し時間の余裕を作って、商店街に立ち寄ってみませんか?
知っている人から買う安心感、商品を買うだけではない繋がりを感じてもらえたら、地域に暮らしている実感を得られると思います。
元気な小さな商店街が増えれば何より日本は元気になる。そう信じて。


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