建物を建てることは環境をよくすること
加世さんは大学で色彩心理学を研究中に建築に興味を持ち、本格的に勉強するためイタリアへ留学、インテリアデザインとインダストリアルデザインを学んだ後、建築の道へ進みます。
帰国後、いくつかの設計事務所を経て、アーキテクトビルダー(建築の設計と施工の両方を行う)として光風林(Kou Fu Rin)で活動しています。
加世さんは元々設計が主でしたが、光風林では設計も大工仕事も行います。ノミを持ったことがないところから、目の前にある大工仕事を必死でこなして、筒井壽英(としひで)さんと共に様々な建物を生みだしてきました。
ご夫婦でお休みには、イタリア、バリ、ハワイ、台湾などを旅行しました。
昔からその土地で培われてきた根源的な暮らし、「土地」に触れる旅で、出会った人、その土地独特の建築様式、資源の使い方など、見て感じたことすべてが光風林の仕事に活きています。
光風林の建物はひとつひとつが手作業です。
施主と一緒にその人の暮らし方や、その人にとって「家」とは何か考えるところから、木材や土、装飾ひとつ、宝探しのように、地域にある資源や施主のつながりの中から見つけていきます。
未来へゴミを残さず、その土地の風土にあった建物を建てるにはまず、「そこにあるもので何ができるだろう?」から考えるのが無理のない形だといいます。
住む人が誇りをもって住めるように、いえづくりにも積極的に参加してもらい、一緒に作りあげていきます。
最近、セルフビルドワークショップの依頼が増えて来たそうです。
昔は家づくり、屋根の葺き替えなど、各地域の人達がお互いに協力してやっていたこと。今、人々が「手作り」に目を向けているのは、人間の本質に戻ろうとしているからかもしれません。
「土壁塗りやかまど作り、パーマカルチャー塾などのワークショップを開催して、光風林ができること、知っていることをシェアしていきたい。自分達ができる「建物を建てること」で地域と環境をよくする活動をしていきたい」と加世さんは言います。
事務所、自宅、ワークショップスペースを兼ねる悠寿館(ゆうじゅかん)にはその工夫がいっぱい。雨水利用、草屋根、太陽熱温水利用、土壁などの実例を見ることができます。
かまど作りやペチカ作りワークショップなど、地域の農家さんとコラボしたイベントを不定期で開催しています。
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