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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

自分生活@いすみ

第5回
奥村さんの、地元愛いっぱい、まちおこしオブジェ制作ライフ

文章:佐々木千穂 写真:吉野桂司 構成:大花慶子
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奥村雄司さん(アーチスト名:奥村ユージ 38才 いすみ市出身 (有)いたみや専務取締役・NPO法人いすみライフスタイル研究所理事・造形作家)
家族:澄恵さん(妻36才)、かれんちゃん(長女中1)、海也君(長男小5)
 
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奥村雄司さん  「おつかれちゃん」。

いつも私達の事務所にふらりと現れ、世間話をし、なにかと世話を焼いてくれる奥村さんは、市内でも知らない人がいないと噂されるくらいの人気者。
本業のシャッターサービスの傍ら、まちおこしのためのオブジェを制作して、地域を活性化させています。

今回は、私達NPO法人の理事でもある、奥村さんをご紹介したいと思います。

アイドルを目指して上京

奥村さんはいすみ市(旧夷隅町)の生まれ。
国吉商店街にある文具・建築材業の「いたみや」の次男として生まれました。
子どもの頃は、とても俊敏でスポーツも喧嘩も強い。
しかもハンサム(笑)で女の子にも人気。
地元でも「やんちゃ者」「暴れん坊」として名をはせたそうです。
そして、高校卒業後、1年間地元の会社で働いてお金を貯め、上京しました。
上京の目的は「アイドルになるため」。タレント養成コースにも通ったそうです。

しかし、タレントになるにはオーディションを受けながら、高い授業料も払う生活をしなくてはならないので、お金がかかる。そのため、タレントになるのをいったん諦め、アルバイトなどをして生活しました。
その間3年。当時、日本はバブル時代。
駐車場の管理の仕事をはじめ、水商売など、さまざまな世界を覗いてきました。
1日の食費300円の極貧時代もあれば、時には月百十数万円もの収入が入っていたことも。

ところが、お兄さんが就職を機に実家を出ることになったため、東京生活に別れを告げ、家業を継ぐべく、地元いすみ市に戻ってきました。

「いたみや」  仕事中の奥村さん
国吉駅商店街にある実家の「いたみや」 仕事中の奥村さん
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見合い婚から「マイホームパパ」へ

地元に戻ってきた奥村さんを待っていたのが、「見合い話」。
お店に出入りする女性がおばあちゃんと仲良くなり、今の奥さん澄恵さんとデートすることになったのが、きっかけだそうです。
澄恵さんは真面目で几帳面な銀行員。一見遊び人風の奥村さんとは正反対。
でも、「結婚したい」とアタックしたのは意外なことに奥様の方からだったそうです。
結婚して最初のうちは価値観の違いから、喧嘩もしたそうですが、1男1女にも恵まれ、今では、毎年結婚記念日には家族で記念写真を撮るほどに。
訪ねたお宅とアルバムには、「マイホームパパ」の奥村さんの姿がありました。

結婚10周年記念の家族写真  アタックボール  サッカー練習ネット
結婚10周年記念の家族写真 長女のバレーの練習のために設置した家の中のアタックボール サッカー好きの息子さんのためのサッカー練習ネット。すべて奥村さんの手作り
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地元のために活動〜消防団からオブジェ制作へ

いすみ市には、地元の青年達から成る消防団の組織があり、実際の災害の現場で活躍しています。奥村さんも所属し、分団長としてまとめ役も経験しました。
また、地元商工会青年部にも所属し、商店街の活性化やまちづくりに活動してきました。

そして、2009年、「いすみ鉄道」が赤字経営で存続の危機を迎えた時…。
「どうしたらいすみ鉄道に乗ってくれるのか?」、「どうしたら観光客が来てくれるのか?」と、地元の皆が頭を抱えていた時に、奥村さんがある提案をしました。
「地元の俺達だって、いすみ鉄道に乗らないのに、乗って存続させようにも限界がある。なら、オブジェをあちこちに置いて、来た人に楽しんでもらうのはどうだろう?いすみ鉄道に乗らないと見えない場所に置くなどすれば、乗る楽しみが増える。それで観光客を呼ぶこともできるんじゃないか?」と。

そしてすぐに、いすみ鉄道のキャラクターをモチーフにした「人形」やオブジェなどを作りはじめました。
駅の看板から人形、竹で作ったドームなど、奥村さんが作った作品の数は、およそ30体。
シャッターサービスの仕事が終わると工場に籠り、夜遅くまでコツコツ手作り。材料費などはすべて持ち出し。できるとすぐに社長に許可をもらい、駅の周辺や車窓から見えるポイントに設置し続けました。
そして、奥村さんの狙いは大当たり。
口コミや鉄道ファンを通して話題になり、マスコミにも取り上げられるようになりました。

竹ドームとヘムレンさん  看板:国吉駅
竹ドームとヘムレンさん:国吉駅広場 看板:国吉駅
ムーミンママ  釣をするスナフキンとミィ:大原駅と国吉駅の間(車窓から見える)
ムーミンママ:国吉駅入口 釣をするスナフキンとミィ:大原駅と国吉駅の間(車窓から見える)
本多忠勝人形
本多忠勝人形:いすみ鉄道大多喜駅前大多喜町観光本陣町民ギャラリー
 みさきちゃん
写真左:みさきちゃん:太東崎燈台(キャラクターイラスト作成も含む)
写真右:制作途中のもの。発砲スチロールで型を取り、コーキングし、その上にスプレーで色をつけていきます。
2010年12月23日の千葉日報記事
2010年12月23日の千葉日報記事(大多喜町の観光本陣に設置した小松姫の人形の紹介) 拡大>>

オブジェたちは、さりげなくいすみの自然の中にとけこんでいます。しかし、それぞれが作り手の想いが込められているように、存在感とあたたかみを感じさせます。
それが、訪れた人の心にも響くのか、「かわいい!」と一緒に記念写真を撮る若い女性も少なくありません。
地元の新聞に掲載された時はもちろん、女性向け人気雑誌にも紹介された時には、意外な反響に本人もびっくりしたそうです。
 
そして、こうした奥村さんを含む沿線の住民の応援などが実を結び、2010年秋には無事、いすみ鉄道の存続が決定しました。

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まちおこしは「楽しませるのが一番」

ところで、順風万帆に見えた奥村さんのオブジェ制作ですが、最初からうまくいったわけではないようです。
「特に親父なんか、『どうせそんなもの作ったって』って文句言っていた」そうです。
「でも、マスコミに取り上げられたら『さすが俺の息子だ』って喜んでくれて」と笑う奥村さん。自分のアイディアを信じて、最後までやり遂げた奥村さんの粘り勝ちでした。

奥村さん流のまちおこしの秘訣は何か?聞いてみました。
すると「楽しくなきゃつまらないでしょ。それから、お金がなければないなりに工夫すればいい。いすみは自然が豊富だから、それを使えばいい。自分たち地元の者には当たり前だけど、よそから来た人は、自然だけで何にもないのがいいって言うものね。たとえば、夏に生えるセイタカアワダチソウ。背の高い雑草だけど、そこを子供の頃迷路にして遊んだのを思い出して、国吉駅の広場に作ってみた。すると、大人達も童心にかえって無邪気に遊べる。でも迷路だけじゃつまらないから、ゴールにオブジェを置いてみる。そうすると『見つけた!』という喜びがある。ただ、自分がこう遊んだら楽しいなーと思えることをやってみるだけ」という答が返ってきました。

2010年夏。奥村さんのアイディアで作った国吉駅のセイタカアワダチソウの迷路が、子供にも大人にも人気で、ちょっとした話題になっていました。これも、その現れでした。

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夢は「いすみの元気を全国に発信!」

地元を愛し、仲間を愛し、いつも話題作りに事欠かない奥村さん。「自分ができることで地域が元気になれば」という思いは実を結び、今ではあちこちからオブジェ作りの注文が入るようになったそうです。

もちろん、他にも、災害から守る地域の消防団の仕事、子供のPTAの仕事、本業のシャッターサービスの仕事、お祭りの世話人…と奥村さんは大忙し。時には「電球に手が届かないから取り換えて」、「鍵が開かない」という近所のお年寄りからのSOSでも気軽にかけつけます。
地域が元気になって、盛り上がるためには労力を惜しみません。

そんな奥村さんの夢は、やっぱり地域が元気になって、皆の笑い声が響く田舎になること。
子供達がのびのびと生きていける地域をつくっていくこと。

そうした夢を胸に、奥村さんは、作品たちと共に、私達を「大丈夫!」と勇気づけてくれるのです。

★奥村ユージの人形等まちづくりオブジェ制作や竹ドームの制作につきましては、いすみライフスタイル研究所でも注文を承ります。お気軽にご相談ください。
Tel:0470-62-6730 E-mail:isumi-style@bz03.plala.or.jp

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