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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

自分生活@いすみ

第15回
自然の力を野菜に - 自然栽培で持続可能な野菜作り、棚原さんのファーマーズライフ

文:高原和江、鶴渕修子 写真:鶴渕修子・岡田美保
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自然栽培野菜農家 棚原力さん

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棚原力さんは、ここ千葉県いすみ市で、野菜の自然栽培と養鶏を営まれています。
元流通業の経営者ということもあり、広い視野を持ち、色んな視点からものごとを見ていらっしゃる農家さんです。

会社時代に自然栽培と有機栽培の野菜を扱うなか、なぜ自然栽培の生産者さんの数が増えないのか疑問に思っていたそうです。
「だったら自分で確かめてみよう」
そこから棚原さんの野菜づくりのチャレンジは始まりました。

棚原さん
元気いっぱいに育った野菜たちと一緒に。

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「人も地球も健康が一番」

棚原さんは、はじめに、「人も生き物、畑も土も、地球そのものも健康であることが一番いいですよね」とお話されました。

森の木々は誰かが水をあげなくても生きているように、野菜などに必要なものも自然界にすでにあって、土や水など自然が本来持つ力が活かされ、土が生きている状態になっていれば野菜は自然に育つと教えてくれました。

有機栽培という方法もあるけれども、もし日本中の農家さんがこのやり方をしようとなると、肥料となる米ぬかも有機かどうか、家畜の糞尿を使う場合も飼料が有機かなど、どうしても限界点が見えてしまうという理由から畑に何も加えなくとも土の力を引き出して育てる自然栽培を選んだそうです。

印象深かった言葉があります。

「地球は地殻から成層圏に向かって窒素が出ている。この空気中にも漂っている。
そのエネルギーが作物を育てる。自然界では目にみえないものもある。私はそれをみて仕事しているんだよ。」

起こることを観察し、野菜の気持ちに寄り添う姿は自然の大いなる循環の中で生きる私達人間の姿をより鮮明に思い出させてくれるようで、とても魅力的に感じました。
棚原さんの視点は目先のものではなく、この先何代も先まで考えたまさに持続可能な農業スタイルであると思いました。

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「野菜づくりに最適な土とは」

「やわらかであたたかく、水持ちと水はけのよい土づくり」が基本だそうです。
土と一重に言っても、場所やその土地の特性によって全く成分が異なります。
化学肥料や農薬によって、土の中の微生物が死滅したり活動が弱まっていたりして自然循環の養分供給システムは壊れてしまっている場合もあるので、まずできるだけ土を最良の状態にもっていくそうです。そのため、麦やマメ科の植物が良い働きをしてくれると教えてくれました。

栽培を通じて、作物と向き合う中で土から教わることも多いそうです。
土の体力がついていない内にそれに見合わない作物を植えて、生育が悪かったり、虫が多く出てしまったりして、自分の勘違いを気付かせてもらうこともあるとか。

どんな場所でも野菜ができるという訳ではありません。何度も作物が育たない失敗をしながらも、やはり元気に育ったときが一番嬉しいと満面の笑みで答えて下さいました。

棚原さんが作った野菜
※無肥料栽培とは人為的に施肥をしないということではあって、無養分で野菜が育つということではありません。
自然界にある土中の養分、小動物や微生物、草の根圏が作りだす養分によってバランス良い養分が保たれる。それら自然の循環によって供給される養分だけで野菜は育つことができるという考え方です。

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「自分の体をつくる食べ物の選択」

現在様々な野菜の栽培方法がありますが、中には「アレルギーなどをお持ちでオーガニックのものでなければ食べられない方やオーガニックでも食べられない方もいらっしゃるんだよね」と棚原さん。
なので野菜もできるだけ自然に近い状態で育つものが良いそうです。

慣行栽培、有機栽培など様々な栽培方法がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあります。
多くの人の食を支えるにはたくさん野菜を作らなければなりませんし、一年中同じ野菜が必要とされたり、形が良くきれいな野菜を選びたい方も多い現状もあります。

棚原さん棚原さんが広い視野を持ち、色んな視点からものごとを見て自然栽培に取り組まれているように、私たちも色んな視点から見て、実情を理解し自分の体にあったものを自ら選ぶことができるようになることが大切だと思います。

そして、さらに、体に良いものを選び健康でいたいと願った時には、できればその野菜にだけ注目するのではなく、栽培過程や環境などにも目を向けて、ほんの少しでも人だけでなくすべての生き物や地球そのものが健康になるようにと意識する視点を1人1人がもったら世の中が少しずつ変わっていくような気がします。

そうした理解が進むことで、家庭菜園などを含め、自然栽培で野菜づくりをする人が増え、少しずつ私たちを含めすべての生き物や地球そのものが健康になっていく未来もみえてくるのではないかと今回棚原さんのお話を伺い思いました。

体をつくる食べ物を選ぶのは、私達一人ひとりであり、選ぶこと、食べることも農家さんを応援する方法の1つだと思います。
様々な方法で農家さんを応援し、みんなで自分自身の体をつくっている「食」を支え、地球の健康も考える。そんな時代の流れを棚原さんと話していて感じました。

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「野菜づくりの原動力」

Q:「棚原さんにとっての野菜づくりの原動力はなんですか?」

A:「そりゃぁ自分が食べたいからだよ。」

Q:「それだけじゃないはずです!(笑)」

A:「こどもたちにも食べて欲しいしね。」

棚原さんの畑「今アレルギーや化学物質過敏症の子どもたちがいる。
国が安全ですというものも、本当は何十年後はどうかなんて誰もわからないかもしれない。

自分の体に蓄積したものが次の世代、またその次の世代に濃縮されて伝わっていくことがあるかもしれない。そういうことを考えると、できるだけ自然そのままのものを食べるのが良いんじゃないかなって思うんだ。

まだあまり知られていない自然栽培だけれども、ゆくゆくはこの農法が当たり前になるような時代になったらいいなって思う。肥料も農薬も施さなくても育つなんてお金や手間も省けてシンプルでしょ?

それに今の農法は作物を育てたあとは養分供給が普通になっている。
抜く⇒入れるの繰り返し。でもその辺の山に生えている作物は誰も肥料をやってないのに育っている。
不思議じゃない?自分達も呼吸し続けているし水だってなくならない。
そういうことを信じてやれるかどうかだけだよ。」

棚原さんのお話は根幹に触れるような、そして全てに通じる事であるような不思議な感覚と共にすっと腑に落ちるものがあります。

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「必要とする人に届けたい」

全国的に見てもまだ携わる人が少ない現状にある自然栽培。
だからお届できる野菜の量にも限りがある。

「私は本当に欲しい人のところに届けば良いと思っている。
それも中間業者を通さずに、直接消費者に届けることで、価格も抑えることができる。
自然栽培野菜はどうしても他の野菜に比べると高いイメージが着くからね。」

棚原さんの目指すところは、周りの野菜に比べると少し高めだけれど、これなら買い続けられる値段で販売することだそうです。

棚原さんは無肥料・無農薬で野菜ができることをただ実証したい。そうおっしゃっていました。
実証できたらこの農法で育てる人が増えるでしょ?育てる人が増えれば世の中に出回る数も増えてくる。そうしたらいつの間にかこのやり方が普通になる。

ゆくゆくは生産活動から今度は広める側(普及側)に移行していきたいという次なるステージへの想いを語ってくれました。

自然の循環に沿うように棚原さんの手によって育てられる野菜たち。畑に立つと野菜の美しさが目を引き、漂う気持ちの良い感覚にしばし心地よい時間が流れます。
何も加えないで育つ野菜本来の味は香り高くすっきりとした味わいでした。

棚原さんの畑

★「スタマベジタブル」開催★
2013年11月4日に開催された第5回「房総スターマーケット」にて地元飲食店とのコラボ企画「スタマベジタブル」を開催しました。

スタマベジタブル

棚原さんの秋野菜を使って各店舗がコラボメニューを考案し、この日の限定メニューで販売。野菜ソムリエさん達も会場にかけつけて下さり、来場されたお客様と旬の食べ方などのお話などで楽しく交流されていました。

★棚原さんの野菜で「自然栽培野菜料理教室」を開催★
2013年6月、11月に棚原さんの野菜で料理教室を開催。合わせて40名の方々が参加。
野菜の食べ比べや美味しい調理方法を皆で学びました。

自然栽培野菜料理教室

 棚原さんの野菜が買える場所
・農産物直売所「ごじゃ箱」(いすみ市岬町井沢1896−1)
ナチュラルハーモニー

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