都会といなかの仕事。一緒にやることで生まれた安心感
今でも東京にいた頃の仕事を引き続き請けているそうです。
栄子さんは日本テレビ系「音のソノリティ」を長年担当。虫の音や小川のせせらぎなど自然の音を届けるという内容で、そのため近所が取材先になることもしばしば。「これ、家から撮ったものなんです」と、放送で使ったものを聞かせてくれました。生活と仕事が上手にリンクしています。
パヴェルさんは生放送のカメラマン担当として週2回東京へ通う傍ら、撮影コーディネータとして仕事を受けています。先日は、大原はだか祭りの映像をまとめ、チェコの国営放送でも放送されました。
こういった「リターン」としての仕事の合間に、パヴェルさんは、伊勢えび漁や力仕事など、地元の方のお手伝いもしています。
「東京での仕事は少しは持っていた方がいい。でも、もしなくなったとしても、生きていけるような気がするよ。困っていると言えば『手伝ってくんなお〜』と近所の人が声をかけてくれるから」。
少しずつ築きあげてきたご近所さんとのつながりは、ここで暮らしていく安心感へ繋がっていました。
遠い異国からやってきたパヴェルさんですが、疎外感はあまり感じないそうです。「元々外人だし、宇宙人だと思われているのかもね」と栄子さんは笑います。
それでも、パヴェルさん自身、自分でやってみないとわからない、経験をしないと話はできないと、積極的に色々な人と話をして、地域とかかわりを持つ努力をしていることも大きいかもしれません。
何にでも興味を持って話を聞き、一緒に時間を共にする。地元の漁師さんの伊勢えび漁を手伝い、大原はだか祭りでは一緒に御輿を担ぐ。「あいつはよく動く、働くと思ってもらうことが大事なのかも」とパヴェルさんは言います。
自分がどこから来たものであろうと、同じ目線で「苦楽を共にする」、「時間を共有する」ことが、地域にいち早く馴染める術であって、本当は一番大事なことなのかもしれません。
大原はだかまつりには毎年参加しているパヴェルさん。 |
|
地域の方々と一緒に木を植える活動もしています。
(以上2点、写真提供:リターン) |
|