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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

自分生活@いすみ

第1回
大野の古民家で暮らす小畑さん一家の“半農半X”ライフ

文章:大花慶子 写真:吉野桂司
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小畑麻夫さん(大阪府出身 45才 農業・Tシャツデザイナー・農産物直売所勤務・移住相談員)
恵さん(神奈川県出身 37才)
遙ちゃん(5か月)
ホームページ http://www.kamekiti-t.com/
 
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8月の強い日差しが照りつける中、スタッフ3人は、小畑麻夫さん一家を訪問しました。
「NO RICE NO LIFE!」のメッセージTシャツ、「米T」で知る人ぞ知る、小畑さんのお宅です!

古民家に暮らし、自給自足をめざす

「昔は東京のアパレル関係にお勤めだった小畑さん。今やいすみの里山の古民家に住んでいて、Tシャツを売りながら自給自足ライフをエンジョイしている」ということが、少しずつ雑誌や新聞、本などでも取り上げられるようになり、ご存知の方もいらっしゃるのでは?

最近では、いすみ市の移住定住協議会や移住相談などの行政のまちづくりにも関わられ、いすみライフスタイル研究所でも頼りにすることが多くなりました。
記念すべき第1回目は、頼れる兄貴分の小畑家です!

 
おお〜立派な長屋門です。
 
母屋。築300年以上は経つと思われる古民家。母屋の広さは200平米はあるかしら?白いおむつは赤ちゃんのいる印!
 
 
離れの風呂
 
他にも雑草に遮られてたどり着けなかったけど(笑)、納屋もありました。裏山も借りている敷地内だそうです。
 
玄関には恵さんが作ったわらじが飾ってあって、いい感じ〜♪
 
案内された12畳ほどの土間には、キッチン、テーブルなどが置いてあって、涼しい風が抜けていきます。

「子どもができる前までになんとか完成した」という自慢の土間は、2トンの土を入れてもらって古民家専門業者に作ってもらったとか。コンクリートではないので、夏は涼しく冬は暖かいそう。
 
実はこの物件、昭和40年頃にリフォームした部分があるのですが、100年以上経った部分の方が頑丈で長持ちしているとか。
手作りの竿や棚…2人でコツコツと手入れをしながら古民家暮らしを楽しんでいる様子が伝わってきました。
 
さて、小畑麻夫さんとパートナーの恵さんの日常は、現在2月に生まれた赤ちゃんの育児が中心。ぷりぷりでかわいくて仕方ないみたい。
 

理想の暮らし方を求めて「いすみ」へ

さて、小畑さん夫婦にお話を伺いました。
 
2人が出会ったのは、1994年の国際イルカ・クジラ会議が開催された旅先の小笠原諸島で。
当時、麻夫さんはアパレル関係の仕事を辞めて自由の身、恵さんは東京農工大で環境資源を学ぶ大学生。
野生動物や旅が好きなことで意気投合した2人は長い交際期間を経て結婚しました。
 
再就職した麻夫さんの仕事は休みも満足に取れないほど多忙を極め、一方で恵さんは「地球環境に負担をかけない暮らしをしたい」と考えて、いつか自然が豊かで自給自足ができる田舎暮らしを夢見るようになりました。
 
2人は仕事をやめて、全国各地、有機農業の取り組みや伝統工芸をみてまわる旅に出ました。
 
なかでも、のんびりした里山の田園風景と、温暖で作物も豊富に実り、新鮮な魚がとれる房総の印象はよく、移住先の候補に挙げていました。
そして、不動産屋から現在の古民家の物件を紹介してもらい、一目見て即決。
そこはなんと2人が以前車で通った時に、恵さんが「あんなところに住みたいね〜」と言っていた物件そのものでした。
 
そして、2人が東京の世田谷区からいすみ市に移住してきたのは7年前の2003年12月。

「10数年も空き家だった」という古民家は、やはりいろいろ直すところもあって大変だったよう。
「どこまで借りているのかわからない」という広大な敷地は草刈りだけでも大仕事。
 
現在、自給率は70%ほど。
幸運にもすぐに借りられた家の前の田んぼは6アール。収穫量は玄米で150キロ〜180キロ。3俵(約180キロ)あれば夫婦2人は食べていけるそうです。4アールの畑でトマトやキュウリ、大豆などを育て、自家製の味噌もつくっています。
 
「米T」の愛称で親しまれるお米のマークのメッセージTシャツが生まれたのは、移住して翌年のこと。
手作業で稲を作り、穂が実り、身をもって先人の苦労を知ったときに、「田んぼを守ってきてくれた日本人への感謝の気持ちを表現したい」と思ったのがきっかけでした。
 
もともとアパレル関係にいた小畑さんにとって、Tシャツの販売はお手のもの。
そしてできたのが、「NO RICE NO LIFE!(米のない人生なんてありえない! ごはんのない生活なんて考えられない!)」のメッセージ。
 
2007年にはテレビ番組で紹介されたのを皮切りに、少しずつ全国や海外にもファンを増やしています。
 
一方、恵さんは東京ではDTPの仕事をしていましたが、インターネット環境の悪さからその仕事をするのは断念。パン屋タルマーリーでアルバイトをしながら「かのこ」という屋号で消しゴム版画家としても活動を開始しました。
 
惣菜を作っている友達に依頼されてラベルを作成
 

2010年2月には待望の赤ちゃんを出産。お産も自然にしたいという希望で、市原市にある助産院を選びました。また、なるべく薬を使わない育児をしたいとのことでした。

半農半Xの暮らし

さて、気になるのは家計を支える現金収入。若い世代にとって田舎暮らしの一番のネックは「仕事がないこと」とよく言われますがお二人はどうなのでしょう?

2人とも東京にいる時からいすみでの仕事を決めて移住してきたわけではありません。「仕事はなんとかなる」派でした。でも、ライフスタイルにはしっかりとしたビジョンを持っていました。

それは、農的暮らしを中心にして、地球に負担をかけない暮らし。
そして、同じ志をもつ仲間と仲良く交流し、助け合う暮らし。
地域に根ざして、貢献できる暮らし。

―――その夢がちゃんと実現している様子は、私たちがいる間にも次々に地元の仲間がやってきて、談笑する一家の姿でわかりました。
 

 
 
小畑麻夫さんは、現在、市原市の道の駅「あずの里いちはら」で農産物直売所の責任者として仕事をしています。道の駅では、観光アドバイザーとして働いていましたが、収入は月10万程度。「さすがにこれではやっていけない」と、ゴルフ場の営業に転職。しかし、農産物直売所から「今度は正社員で」と声がかかり、責任者として働くことになりました。
 
あずの里いちはら
 
 
農に携わった仕事がしたいと思っていたのでこのお誘いは願ったりかなったり。
収入も月20万円以上になりました。これで家賃、光熱費、車の維持費をまかなえ、自給率が70%ともなれば、ぜいたくができないまでも親子3人生活できる範囲。
 
生産者やお客さんとの出会いもあり、日々忙しくも楽しく働いているそうです。
 
場所は家から車で45分。直売所なので余った野菜などがいただけるのもメリット。
 
農産物直売所での仕事は多岐にわたります。
日々の店頭販売はもちろん、パートさんのシフトを組んだり給料計算をしたり。登録している農家さんからの仕入れや売り上げの管理をし、イベントがあれば出店の準備もあります。
週2日の休みの日以外は、7時半に家を出て、夜8時頃に帰宅します。
 
休みの日は、家の周りの草刈り、農作業、家の改装、子どもの世話、Tシャツ販売の雑務、ブログの更新など。「畑は子どもができてからあまり手が行きとどかなくて。でも今のうちしか一緒にいられないから」とパパは子煩悩ぶりを発揮しています。
 
田植えや稲刈りは、ナチュラル系マーケットで知り合った近くの仲間たちなどが集まって手伝ってくれるそうです。
 
ナチュラル系のマーケットでTシャツを販売
 
こうした自給自足(農)をしながら、別の天職(X)を持つライフスタイルを半農半Xといい、都会では「新しいライフスタイル」として、若い人たちに人気です。小畑さんもその代表格として、単行本「半農半Xの種を播く」でもインタビューを受けています。
http://www.commonsonline.co.jp/hannouhanekkusu.html
 
移住して7年。
いすみで暮らし始めてから空気のおいしい自然の中で、規則正しい生活になったせいか、恵さんも肌荒れがなくなり、麻夫さんもストレスがなくなって精神的なゆとりを感じて過ごすようになりました。
 
そして、昨年からいすみ市内の農家の方々とネットワークを結びながら、田舎で農的暮らしを目指す人々を応援しようと、「農的暮らしをすすめる会(仮)」を立ち上げ、世話人になっています。
10月には「新米を味わう会」が開催される予定だそうです。
 
お話してみて思ったのですが、実は小畑家で一番のしっかり者は恵さん?!
「こんな暮らしをしたい」と思ってから、同じ志をもつ可能性のあるパートナーを見つけ、徐々に洗脳し(笑)、「あれだ!」と直感でピンと来た物件に住み、元気でかわいい赤ちゃんにも恵まれ…
 
とにかく、小畑家の田舎のステキなライフスタイル。ちょっと垣間見ることができて、ほっこり幸せ気分になりました。
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