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まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

自分生活@いすみ

第13回
家族をつないでいく - クレイアーティスト内野さんのリゾート的創作ライフ

写真・文:重野藍子
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内野美佐さん(クレイアーティスト)

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内野さん

よく晴れた暑い夏の土曜日。
笑顔の内野さんに迎えられて入ったアトリエは、淡いパステル調の色合いがやさしい空間。
並んでいるソフトクレイの作品はどれもとても繊細で、ひとつひとつ丁寧に仕上げられています。

内野さんの肩書はクレイアーティスト・ウェディングデコレーター。
結婚式の指輪交換の際に指輪の台座にするリングピローを、ソフトクレイと呼ばれる粘土で制作するほか、式場の会場装飾のデザイン・製作なども手掛けます。

内野さんの制作するリングピローは、華やかで見た目にスウィートなケーキ型になっています。

内野さんが制作したピローと同じデザインでウェディングケーキを注文したお客様もいるほどのかわいらしい出来栄えで、アトリエの様々なリングピローは、見ているだけでハッピーな気持ちになれるものばかりです。

ウエディングケーキ

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ソフトクレイとの出会い

内野さんが生まれ故郷の九州から千葉県へ移住したのは12年前。
「それまでは夫の転勤で九州内を転々としていたんだけど、夫のこちらでの仕事が決まってからはもう転勤がないとわかっていたから、自分にできる何かをしようと思って。」

最初からソフトクレイをやろうと決めていたわけではなく、教えることが好きだった内野さんは「いつか教室を開きたい」という漠然とした思いのもと、図書館で趣味の本を読み探す日々を送っていました。

そんな中、ソフトクレイの先生との出会いに恵まれます。

「最初はとにかく子供連れOKな教室を探していて。受け入れてもらった先生にはレッスンの最中も子供をあやしてもらったりしたのよ。」

子育てとの両立をしながら免状を取得、念願の教室をオープン。
生徒を増やし、また本部スタッフとしてイベントなどでも関わるようになります。


クラフトからウェディングへ、「0(ゼロ)」からの挑戦

クレイアートウェディングをはじめたのは4年ほど前。教室でクレイを教える中、ウェディングディレクターのワキリエさんの本との出会いがきっかけで、ウェディング業界へ魅かれていきます。

「資格を取ってもそれを活かせない人が多いの。最初はみんな作ること自体が楽しいんだけどね。でもこのソフトクレイを誰かのために作りたいと思って。人が喜んでくれることが好きなの。喜ぶ顔が見たくてやってるから、サービス業にも近いのかもね。
それに私、家族が好きなの。結婚式ってその家族のはじまりの日じゃない?そのはじまりの日に、私も関わっていきたいという想いがあって。」

最初は教室との両立を図ったものの、どちらも中途半端になってしまうと無理を感じ、習っていた先生の厚意もあって生徒さんを引き受けてもらい、クレイアーティストに転身。

しかし、ソフトクレイがウェディング業界で使われている前例は当時ありません。
ソフトクレイがウェディングで通用するのか、まずは業界のことを知ろうと内野さんは外に出て行動を始めます。

「人と会うのが好き。話していく中でどんどんアイディアが生まれてくる。」

ウェディング関係のセミナーや講演会などに出かけては人の輪を広げていった内野さん。

ホビーショウでの空間演出
※ホビーショウでの空間演出

中には式場支配人やウェディングプランナーが多く参加するセミナーでの名刺交換で「え?作ってる人なの?」と驚かれることも。

そうやって人と出会っていく中で「この人と仕事がしたい。」と思える人物に出会います。

「もう、テニスの松岡修造みたいに熱い人で(笑)。この人だ!って思って名刺交換の後にすぐコンタクトをとりました。
すぐに進展はなかったけど忘れた頃に、部下の方から電話をいただいて。『素敵な作品を作るアーティストがいるからと上司からアトリエの見学を勧められて』って言われた時はうれしかったなぁ。
見ていてくれる人がいるんだという経験をさせてもらいました。」

この行動力がご縁となり、ウェルカムスペースのデコレーション講座など、仕事を依頼される機会に恵まれます。

今年4月にはクレイメーカーさんの依頼でホビーショウに出展。
メーカー側がウェディングでやりたいとの希望があり、ウェディングというテーマで空間演出。このホビーショウの成功がきっかけで、クレイアートだけでなく総合演出、空間演出へも仕事の幅を広げていきます。

内野さんの空間演出作品
※内野さんの空間演出作品

とはいっても、会場全体の演出ではとても家庭との両立も、いすみで暮らしながらというのも難しくなります。

そこで内野さんはテーブル一個分でできるウェルカムスペースの演出に特化。作品はネットショップで販売するなど、「自分にちょうどいい」仕事のバランスを見つけていきます。

「東京は仕事面の出会いがいくらでも開ける。東京へは月に4〜5回行くかな。でもアトリエにいる時間を大切にしたいから、最初にその時間を確保してからスケジュールを組み立てていくの。東京には住めないな。今のこの生活があるから仕事も楽しんでできるんだよね。」

クレイアート以外に広がった部分、空間演出で使うポンポンやリボンのカットなどは地元のママ友に手伝ってもらっています。


「ママ友はみんな、幸せのお手伝いをしているって実感してくれている。そうやって関わってもらえると私もうれしいな。そうやって地元も東京も、人とのご縁でつながってる。」

と実感する内野さん。今は『つなげる』ことをしていきたいといいます。

「クラフトとウェディングをつなげたい。私はクラフトから来た人間だから、両方の業界がどんなものかを知ってる。花嫁さんがウェルカムスペースを手作りしたりすることで、ウェディングを通してクラフトも知ってもらえたら。」

そう語る彼女には、一つの目標があります。
それはウェディング目線のクラフト本の発行。
本のイメージはすっかり出来上がっているので、内野さんの行動力なら近い将来実現しそうです。

 ボンボン
※空間演出に必要なポンポンは、地元ママの協力で

「思ったことはすぐにやりたいの。まさに『今でしょ!』っていう感じ。気がついたら即行動。『そう思ってたんだけど』はなし。思っていてもやらなければ、思わなかった人と一緒でしょ?そこまで行動したら、あとはご縁。」

思うだけではいつまでも0のまま。何か行動を起こして、はじめてそれが1になる。内野さんはその『1』を、そして『ご縁』を大切にします。

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お気に入りリゾート?!「いすみ」の発信

いすみでは家族でバーベキューしたり買い物帰りに子供たちと海に行ったりと、都会に住む人がリゾートでしかできないことを日常で満喫しています。

「夏休みは道も混んでて『あーあ』なんて思ったりもするけど(笑)、みんなにいすみのいいところを知ってもらえるのはうれしいよね。私は外に出かけて行ってるほうだから、いすみを外とつなぐ役割を果たしたいな。」

そう言う彼女は、いすみの作り手と東京をはじめとする他地域をつなげようと人と人とのご縁作りをはじめています。「大事にモノ作りしている人と、その価値をわかって大切にしてくれる人とをつなぎたい。」これもはじまったばかり。今は切り開いていくことを楽しんでやっているそうです。

メリーゴーランド

ウェディングとは直接関係していませんが、作り手として気になっているモチーフが「メリーゴーランド」。

「メリーゴーランドにある『なつかしい』『あたたかい』『家族』『思い出』といったイメージを大切にしたい。」と、ソフトクレイの卒業制作であるメリーゴーランドの前で内野さんの話を聞いて、彼女の根幹で大切にされているのは「家族」であるということが伝わりました。

娘さんの撮った内野さんのショット、柔らかな笑顔が素敵です内野さんと話していると、ウェディングの見方が少し変わります。

「家族のはじまり」の日であり、「人生で関わった人たちに感謝を伝える」日。
内野さんの大切にするキーワード、「家族」と「想い」が、結婚式という日には詰まっているんだと感じました。

リゾートさながらのいすみライフを楽しみながら、持ち前の行動力で仕事だけでなくボランティアなど地域のいろいろな活動をこなす内野さん。

取材中、次々と入ってくる子供たちと会話する彼女は、家族の中の優しいお母さんの笑顔でした。


※写真右:娘さんの撮った内野さんのショット、柔らかな笑顔が素敵です。

アトリエへは子どもたちもよく遊びに来ます
※アトリエへは子どもたちもよく遊びに来ます
 取材中遊びに来た長男と
※取材中遊びに来た長男と
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