イベント案内癒し・パワスポめぐり自分生活@いすみスタッフオススメ  得  情報
いすみつけむすびISUMIX Lifeいすみ暮らしお役立ち情報
癒し・パワスポめぐり
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
まきべ〜のおでかけ日記
いすみライフマーケット
NPO法人 いすみライフスタイル研究所

癒し・パワスポめぐり

第7回
トンネルを抜けたところにある、昔から変わらない情緒を残す「岩船エリア」

文章:三星千絵 写真:三星千絵、岡田美保
---
内房の海沿いにある工場地帯に生まれ育った、私、ちえぽん。海があまり身近に感じられないまま、大人になってしまいました。そのせいか、海や漁港を見るといつもなんだかわくわくします。
 
「いすみには昔ながらの景色が残る、すてきなエリアがあるよ」と言われ、行ってみることにしました。国道128号線を南に向かい、浪花小学校を左折、海に向かって進みます。里山と田んぼを見ながら突如現れるトンネルを抜けると、そこは港町岩船。
今回は、昔ながらの漁村の風景が残る岩船エリアを紹介します。
---

小さな漁村を見守り続ける「岩船地蔵尊」

岩船地蔵尊1 岩船地蔵尊2

岩船エリアはいすみ市の南、御宿との隣接する小さな港町。このエリアの象徴である、『岩船地蔵尊』は岩船漁港からほど近い海に突き出た岩場にあります。

その昔、時の中納言藤原兼貞卿は、建治元年(1275)9月、ご本尊および75柱の霊神を奉じ、遊航していました。その途中に台風に遭遇、一同船中で一心に尊像を念じたところ、しばらくして、釣師海岸に漂着し、一漁夫の助けにより上陸することが出来ました。朝になり風雨が静まると、船は大きな岩の船となり浮かび、また尊体安置を示唆する霊岩も同時に出現したので、兼貞卿はその奇瑞(ふしぎなめでたいしるし)に感じて里人と相談し、この地に堂宇を建立、これが岩船地蔵尊だと伝えられています。
今なお海上保安、五穀豊穣の守り神として、漁業者をはじめ近郊の人々の信仰を集めていると聞き、私もごあいさつをして今回の取材をはじめました。

---

人々が集う場所。そして、生活の一部でもあるお地蔵様

最近では、この昔ながらの雰囲気を味わいたいと、遠方からやってくる人が増えています。バスツアーでの立ち寄りスポットになることもあるそうです。私も友人を連れていったことがありますが、その中世的な雰囲気に感動していました。
このお地蔵様では、年に一度、8月23日、24日には縁日が開催されます。地元の方々を中心にたくさんの人が集まり、23日には花火、24日には船から海へ灯篭流しを行い、人々を魅了しているそうです。

岩船地蔵3 岩船地蔵5

縁日の様子。たくさんの人が絶え 間なくお参りに来ていました。
岩船地蔵4

トラ1 トラ2
縁日のようなイベントがない日は、地元のおばあちゃんが当番で社のカギを開けるなど、地元の人にとっては、「岩船地蔵尊」が身近な存在として、生活に溶け込んでいました。
そんな中、かわいい守り人を発見!猫の「トラ」。地元の子どもたちに「トラちゃ〜ん」と呼ばれる人気っぷり。いつも「岩船地蔵尊」の近くにいて、お客さんが来ると、自ら階段を上り、案内してくることもあるのだとか。「地元の人より、よっぽど詳しいんじゃない?」と地元の方は笑います。
---

ここで暮らす人たち、みんなが家族のよう

岩船で生まれ育ち、そして、今も小学生のお子さんと一緒に暮らす宮内さんに、日々の暮らしについて聞いてみました。
「岩船は人口が少なく、お互いの顔と名前をすぐに覚えられるので、声をかけ合うことが日常茶飯事なんです。『おめえの子ども、さっき走ってたっぺ』と自分よりも、近所のおじいちゃん、おばあちゃんのほうが子どもを見ていたりすることもあるぐらい。2世代、3世代同居が多いので、子どもたちは、年代問わず誰ともで話ができることが多いかなぁ。」とおっしゃいます。
自分以外の誰かが見守ってくれる環境が日常なんですね。
岩船漁港

ところで、まちの人々の会話を聞いていると聞き慣れない「えーい」という言葉が。私が不思議そうな表情をしていると、「こんにちはの意味なんですよ。」と。
誰かと会うと第一声が「えーい」。岩船特有のあいさつで、これ以外にもぱっと聞いただけではわからない言葉もありました。「言っている本人たちは気がついてないけれど、“岩船語”って結構あると思いますよ」。とっても気になります。

そんな人情味溢れる港町ですが、漁業だけで生活をしている人はほとんどいません。
若い人は別な仕事をしつつ、休みの日にも海にもぐったり、釣りをしたり、漁に出たりという生活をしています。漁業一本の生活を定年後の楽しみとしている人も多いそうです。実際、宮内さんも平日仕事をする傍ら、週末は現役の海女として、海に潜り海藻などを取っています。岩船で暮らす人々のほとんどが、漁業権をもっているので、そんな生活もできるのです。

---

水平線からのぼる“日の出”と“月の出”が見られる場所

岩船地蔵
太平洋に面ししているため、毎日の朝日がきれいに見えますが、一番のおすすめは秋ごろの満月の「月の出」。ここに、長年住んでいる人でさえ、うっとりする時があるそうです。岩船地蔵尊のベンチに腰かけ、ただゆっくり月の出を眺める。私も移住をしてから何度か月の出を見ましたが、なんとも神秘的。とても贅沢な気持ちになりました。
 
「岩船には何もない」と地元の方は言います。
確かに、おしゃれなカフェや流行りのお店がある訳ではありません。しかし、そこにはずっと守られてきた漁村があり、変わらない人々の暮らしがありました。「新しさ」を求め、日々変わっていく景色ばかりが良いとされる中、改めて本当に大切なものは何かを気づかされたような気がしました。
岩船

岩船エリアマップ

岩船エリアには、JR大原駅から、市民バス「大原巡回波花線」(平日運行)をご利用になることで行くことができます。

市民バスの運行表は、市のホームページをご覧ください。


大きな地図で見る

 

Copyright (C) NPOいすみライフスタイル研究所 all rights reserved.