【地球環境基金活動報告】2019年3月18日:獣害対策勉強会【アライグマ等小型哺乳類編】を実施しました
2019年3月18日(月)、つどいの家で獣害対策勉強会「野生哺乳類が媒介する疾病と対策についての勉強会」を行いました。
これまで獣害対策の勉強会はイノシシをテーマに行ってきましたが、今回は、アライグマを中心に小型野生哺乳類をテーマにしました。
いすみ市は、千葉県の中でも珍しくこのアライグマが増えている地域だということです。これに伴い、アライグマの被害は、被害額、被害面積ともに夷隅地域では他を引き離して最も大きく(5,599 千円、2.55ha、平成27年度)、捕獲数では年間1,000 頭を超えて年々増えています。
アニメでも知られるアライグマですが、アニメの人気で80~90年代に2,000頭ほどペットとして輸入されたそうです。
しかし、アライグマは気性が荒く、成長すると飼育が困難なため飼い主が自然環境に捨てたり、飼育施設から逃亡したりと日本各地で定着が進み、増えて困っている状態です。
実はアライグマは、可愛いだけでは済まされない面を持っています。
生態系や人体、農林水産業に悪影響を及ぼし、または及ぼすおそれのあるものとして、外来生物のうち「特定外来生物」というものに指定されています。指定されると、研究目的等で許可を得たものを除き、輸入、販売、飼養等( 飼育・栽培・保管・運搬) が禁止される動物なのです。
アライグマは農地や市街地で発見されること多く、特に春から初夏の繁殖期には、家屋に侵入し天井裏に棲みつき子育てをすることも多いそうです。
アライグマの被害には3種類あると言われています。
1. 生態系被害:手に振れるものは何でも捕食することがわかっています。川の中を移動することが多いため川の水棲生物に被害が多い。
2. 農作物被害:トウモロコシやスイカなど果実、野菜、穀物など農作物への被害。
3. 生活被害:天井裏に棲みつき、糞尿や外部寄生虫など衛生面の問題も発生。
今回の勉強会は、日本獣医生命科学大学獣医学部 野生動物学研究室 博士(獣医学)の加藤卓也先生にお出でいただき、行いました。
当日は、いすみ市農林課の鳥獣害担当者や猟友会の会長、副会長、メンバーなどが出席されました。
野生哺乳類が媒介する疾病と対策について加藤先生の方からお話しをいただいた後、職員の方や猟友会の方々と先生の間で熱心な質疑応答が行われました。
また、勉強会の後、市がアライグマの処理のために購入した二酸化炭素処理箱の具体的な使い方について、加藤先生から市の鳥獣害担当者や猟友会の皆さんが教えていただいていました。
出席人数は少なかったのですが、アライグマの捕獲、処理の現場にいる方々ばかりの出席となったため、かなり現場で必要な情報や気づきのやりとりがあり、充実した会となりました。
加藤先生からも、これくらいの人数の方がじっくり対話できてよかったという感想をいただきました。
また、猟友会の会長は「最近聞いた講演会の中で一番良かった」、市の鳥獣害担当者は「市の職員と猟友会の幹部の研修会のような勉強会だったので充実していた」とわざわざ言いに来てくれました。
なお、私たち一般人がアライグマを見かけた時に気を付けることとしては、
1. 可愛いからと安易に近づかない。アライグマは気性が荒いため、噛まれたり、引っかかれたりして怪我をする恐れがあります。
2. 糞尿や血液、鼻汁、唾液、皮膚などに接触することで、感染症にかかる恐れがありますので、触れないようにしてください。
3. また、もし、噛まれたり、引っかかれたりして、傷ができたら、破傷風などにかかる危険性もありますので、ただちに病院を受診してください。
今回はアライグマの例をご紹介しましたが、田舎暮らしをしていると、野性哺乳類を見かけることも少なくありません。しかし、アライグマに限らず野生哺乳類にはいろいろな病気の元になるものを持っている場合も少なくありませんので、安易に近づくことは控えるようにしましょう。
(えざき)
※この勉強会は平成30年度地球環境基金助成金の助成を受けて実施しました。
※このブログの記事は平成30年度地球環境基金助成金の助成を受けて作成しました。
※いラ研は、環境保全活動をはじめ、SGDsを視野に入れたまちづくりに取り組んでいます。